世界遺産フォンニャ=ケバン国立公園の荘厳な洞窟
ベトナム中部クアンビン省に広がる フォンニャ=ケバン国立公園 は、アジア最大級の石灰岩カルスト地形が広がる世界自然遺産です。地下には数百もの洞窟が存在するとされますが、いまだどれだけの規模があるのか分かっておらず、世界遺産の中でも特筆すべき世界遺産だといえます。その中でも観光客に広く知られているのがフォンニャ洞窟と天国の洞窟です。

この地域は、ベトナムでも屈指の洞窟密集地として知られています。地下には巨大な空洞が複雑に広がり、世界でもトップクラスの洞窟群が集中しています。巨大洞窟として有名なソンドン洞窟もこの国立公園の中にありますが、一般観光客が訪れる代表的な洞窟はフォンニャ洞窟と天国の洞窟の2つです。
どちらも同じ国立公園内にありますが、観光方法や洞窟の雰囲気は大きく異なります。

水の洞窟「フォンニャ洞窟」
フォンニャ洞窟 は、国立公園の名前の由来にもなった代表的な洞窟です。洞窟の内部を川が流れていることが最大の特徴で、観光はボートに乗って行きます。
まずソン川の船着き場から観光ボートに乗り、川を約20分ほど進むと洞窟の入口に到着します。入口は巨大な岩の裂け目のような形をしており、そこから暗い洞窟の中へボートがゆっくりと進んでいきます。
洞窟の内部ではエンジンを止め、船頭が手漕ぎで静かに進みます。水面に鍾乳石が映る幻想的な景色が広がり、外の光が届かない世界に入っていく感覚があります。
洞窟の長さは約7km以上あるとされ、そのうち約1kmほどが観光公開されています。途中からはボートを降りて少し歩き、鍾乳石の造形を近くで見ることもできます。
水の洞窟ならではの景観が特徴で、静かな水面と鍾乳石の組み合わせが非常に神秘的です。ボートで洞窟の奥へ進む体験は、ベトナムの洞窟観光の中でも特に印象に残るものです。

巨大な鍾乳洞が圧巻「天国の洞窟」
天国の洞窟は、正式には ティエンドン洞窟 と呼ばれ、英語ではParadise Caveとして知られています。2005年に探検隊によって発見された比較的新しい洞窟ですが、現在ではフォンニャ地域を代表する観光地のひとつになっています。
この洞窟の最大の特徴は空間の大きさです。内部の高さは最大70mほどとされ、巨大な地下空間が続きます。洞窟の長さは約31km以上とされ、ベトナムでも非常に規模の大きな洞窟のひとつです。
観光客は入口まで電動カートで移動し、その後少し坂道を登って洞窟入口へ向かいます。洞窟の内部には木製の遊歩道が整備されており、そこを歩きながら鍾乳石を見学します。
内部はライトアップされており、巨大な鍾乳石の柱やカーテン状の石灰岩など、さまざまな形の鍾乳石を見ることができます。空間が広いため圧迫感はなく、巨大な地下ホールの中を歩いているような感覚になります。
フォンニャ洞窟のように水の景観はありませんが、鍾乳石のスケールや洞窟の大きさではこちらの方が迫力があります。

2つの洞窟の違い
フォンニャ洞窟と天国の洞窟は同じ国立公園にありますが、体験のタイプがまったく異なります。
フォンニャ洞窟はボートで洞窟を進む「水の洞窟」です。川の上を進みながら洞窟を探検するような雰囲気があります。暗い洞窟と静かな水面が特徴で、幻想的な景色が印象的です。
一方で天国の洞窟は巨大な地下空間を歩いて見学する「鍾乳洞」です。ライトアップされた鍾乳石を見ながら広い洞窟を歩くスタイルで、洞窟のスケールの大きさを体感できます。

このため、多くの観光ツアーでは2つの洞窟を同じ日に訪れるコースが組まれています。水の洞窟と巨大鍾乳洞というまったく違う体験を1日で楽しめるため、フォンニャ=ケバン国立公園の観光では定番の組み合わせになっています。
また、以前はダナンやフエから向かう場合だと宿泊するツアーが主流でしたが、現在ではフエからの日帰りツアーも組まれるようになっています。フエで前後泊する必要がありますが、少しでも時間をつくってぜひ行ってみてください。
ベトナム中部の洞窟観光を考えている場合、この2つは最も訪れる価値の高い洞窟といえます。ダナンやフエから足を伸ばす観光客も多く、自然のスケールの大きさを体感できる場所として人気があります。


